このままでいいの?公営掲示板について考える

こんばんは、北区議の佐藤ことです。

昨日6/20から東京都知事選挙がスタートしました。選挙になると通り沿いや公園、学校の近くには選挙ポスターの掲示板(公営ポスター掲示場)が立てられます。公営掲示板は候補者が選挙期間中に自分の政策やメッセージを有権者に伝えるための重要な手段ですが、今回この掲示板をめぐって様々な問題が起きています。

公営掲示板の枠が足りない問題

都知事選は注目度の高い選挙ということもあり、特に2012年以降、候補者数は増加傾向にありました。

  • 2012年:9人
  • 2014年:16人
  • 2016年:21人
  • 2020年:22人(当時過去最多)

そして、昨日の告示日に立候補した人数は過去最多の2020年の倍以上となる56人!

かなりの候補者数になることは予想されていましたが、掲示板には48枠しか用意されていませんでした。

どうするのかと思ったら、49番目以降の候補はまさかのクリアファイル支給…。同じ額の供託金を納めているのに、さすがに不公平すぎます。

事前審査終了者数も54名となっており、2日前には枠が足りないことは分かっていたはず。

引用元: https://r6tochijisen.metro.tokyo.lg.jp/governor/about.html

裁判沙汰になってもおかしくないと思うのですが、都選管は今後どう対応するのでしょうか。

公営掲示板の枠を売る選挙ハックの問題

また、一部の候補者や関係者が、公営掲示板の枠を広告枠のように売買するという行為も問題となっています。

本来、公営掲示板は平等な選挙活動のために設けられたものですが、枠の売買が行われることで、一部の候補者が不公平な利益を得る可能性も。

このような選挙ハックは、選挙の公正さを損ない、有権者の信頼を失わせる要因となりかねません。

一部のポスターではQRコードのリンク先が「詐欺サイトではないか?」と懸念の声が上がっています。

公営掲示板と表現の自由の問題

公営掲示板に貼られた全裸のポスターにも、議論が巻き起こっています。 

私個人としては、大変不快ですし、自分の子どもに積極的に見せたい表現ではありません。「なぜこれが審査ではじかれないのか!?」と疑問に思う方の気持ちもよく分かります。

しかし一方で、選挙ポスターは候補者が自由に主義主張を訴えることができる場です。

選管には「内容」を審査する権限はありません。

また、今回の全裸ポスターは意図的に卑猥なポーズをとっている可能性が高いですが、

候補者の意図を強く伝えるための大胆な手段として裸のポスターを使用する例は国外でもあります。視覚的に衝撃を与えることで、選挙に対する関心を喚起し、重要な問題についての議論を促進する狙いがある場合もあるかもしれません。

これらの表現は政治的主張・メッセージとして受け入れられる方も多いのではないかと思います。が、公権力が規制する場合に、何がOKで何がダメか、どのように線引きを行うかはかなり難しいところではないでしょうか。

当該陣営は警視庁の警告を受けてすべて剥がすようなのですが、警視庁が行政指導を行った法的根拠も気になります。

「都迷惑防止条例違反」とありますが、第7条は客引き行為等、ピンクビラなどに対するものであり、選挙ポスターが客引き行為やピンクビラに該当するのかはやや疑問です。

また、たしか過去にも都知事選で男性候補が全裸ポスターを貼っており、その際には特に行政指導もなかったと思われ、女性の裸体のみ規制をするのは女性の表現の自由を奪う行為とフェミニズムの観点から批判もできます。

もちろん陣営を批判・抗議することは自由ですし、大いにやるべきですが、不快で迷惑だからといって安易に「剥がさせろ!」ということには懸念があります。

表現の自由、特に選挙や政治における権利は私たちの社会にとって極めて重要な権利です。簡単に公権力の介入を許していいとは思いません。

だからこそ、(個人的な意見を言わせてもらえれば)こんなしょうもない、掲げた表現の自由すら警察の警告程度でおろすような覚悟のない陣営によって規制される隙を与えたことは腹立たしい限りです…。

公営掲示板のこれから

このように問題が噴出している公営掲示板。

そもそも都内の公営掲示板の数は約1万4000箇所もあり、これを貼りきるにはかなりのマンパワーとお金が必要です。組織のない陣営にすべて貼りきることは不可能でしょう。

また、掲示板自体にもかなり費用がかかっているはず。

私は以前からデジタルサイネージにしてほしいと言っているんですが、

そもそも公営掲示板自体が必要なのか?公営掲示板のあり方を議論すべきフェーズなのかもしれません。。

みなさんと共にこれらの問題について考え、解決策を見つけていきたいと思います。

それでは今日はこのへんで。